社長にとっての年金問題 とは?

会社の財布も個人の財布も一体化しているオーナー企業の社長は会社負担分も自己負担しているのと同義といえます。

よって、社長は本人負担分に会社負担分を加えた金額を、翌月末日迄に年金事務所に納付し、それを毎月、毎月、繰り返していきます。社長が70 歳になるまで、ずっとです。

例えば、報酬月額70 万円の社長なら現在の保険料率(18.3 8.3 8.3 %)での負担合計はこうなります…

報酬月額70万円・厚生年金保険料率18.3%で計算

社長の合計保険料は相当な額になります。

保険料納付期間を40年間とすると合計保険料は56,923,200円です。この額をプラス(年金受給額)とマイナス(納付保険料)で考えてみましょう。

仮に、65歳から80歳まで老齢基礎年金を満額受給したならば、15年間の年金受給額は11,925,000円(令和5年度・満額受給額795,000円×15年)になります。

老齢基礎年金は社長の役員報酬がいくらでも受給年齢(65歳)になればもらえますから、これはプラス要素といえます。

よって、40年間の納付保険料56,923,200円から老齢基礎年金の年金受給額11,925,000円を差し引きます。すると差引で▲44,998,200円になります。

厚生年金保険料の払い損

ここで恐ろしい事実があります。それは、社長が何歳になっても“現役”でいる限り、つまり、これまで同様、報酬月額70万円をもらっている間は「▲44,998,200円を1円も取り戻せない!」という現実です。

なぜなら、社長は「在職老齢年金」が“全額支給停止”になっているからです。

これが社長にとっての年金問題です。

「在職老齢年金」は昭和12年4月2日以降生まれなら70歳だろうと、80歳だろうと、ずっと適用されてしまう制度です。

ということは、社長は年金受給年齢(65歳)に達した時点でスッパリと会社経営から引退しないと、「本来受け取れる年金が受け取れない!」のです。保険料を45,209,700円も余計に支払って、です。“払い損”とはまさにこのことでしょう。

 

社長が年金をもらうには?

このように多額の保険料を長年納めてきたのに年金をもらえない。この事実をはじめて知った社長は皆一様に大きなショックを受けます。

中には、「在職老齢年金」という制度を知らず、「『ねんきん定期便』には65歳からの年金見込額が記載されている。なぜ年金をもらえないのか!」と憤慨する社長もいます。

では、社長が年金をもらうにはどうすればいいのか?
社長が年金をもらうための1番簡単な方法は“報酬月額を引き下げる”ことです。

例えば、年金月額10万円・報酬月額70万円の社長が報酬月額を35万円に引き下げるケースです。

たしかに、このケースでは年金月額と報酬月額の合計額が48万円以下になりますので、「在職老齢年金」を満額受給できるようになります。しかし、報酬月額を下げれば年金はもらえますが、その分だけ社長の手取りが激減してしまいます。

それでは何の対策にもならず、本末転倒でしょう。

また、報酬月額を下げて「在職老齢年金」をもらうようにするやり方には次の2つのデメリットも伴います。

  • デメリット#1.役員報酬はすぐには変更できない
  • デメリット#2.役員退職金の支給時に問題が発生する

まずデメリット#1です。

役員報酬は「定期同額給与」になります。

税法上、「定期同額給与」を変更できるタイミングは会社決算から3ヶ月以内とされています。

つまり、報酬月額を下げて今すぐ年金をもらいたい。

そう思っても、時期によっては次年度まで待たなければいけないケースがあるのです。

次にデメリット#2です。

60代社長は年齢的に退任も頭の片隅に入れ始める頃合いです。

退任となると、社長にとって「役員退職金」は大きなテーマになりますが、ここで問題が発生します。

一般的に、役員退職金の「損金算入額」の次の式に則って計算されます。

  • 役員退職金の損金算入額 = 最終報酬月額 × 役員勤続年数 × 功績倍率

この点において、報酬月額を下げて年金をもらうようにすると、社長の「役員退職金」を支給する際、会社側で処理できる「損金算入額」が少なくなってしまうのです。

例えば、在任年数40年の社長が年金を満額受給するために報酬月額を70万円から35万円にしたとします。

功績倍率は3.0とします。すると、先の計算式は次のようになります。

  • 対策前:8,400万円(役員退職金の損金算入額)= 70万円 × 40年 × 3.0
  • 対策後:4,200万円(役員退職金の損金算入額)= 35万円 × 40年 × 3.0

報酬月額を下げる「前」の損金算入額は8,400万円、対して、報酬月額を下げた「後」の損金算入額は4,200万円に半減してしまいます。

その差は4,200万円です。これだけの金額が「損金」になるかどうか違ってくるわけですから、中小企業にとっては見過ごせない問題でしょう。

ところが、です!
報酬月額を下げずとも、社長が年金を満額受給できる方法があるのです

それが、私どもが提案する、“最強の在職老齢年金対策”です。詳しく説明します。

 

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