「国税から学ぶ:事前確定届出給与がある場合の役員退職金の注意点」


国税不服審判所:平成27年6月23日裁決
請求人は、会社法は役員賞与を役員報酬の一つとして位置付けているのであるから、本件役員退職給与相当額を平均功績倍率法により算定する際の最終報酬月額は、本件賞与を加味して算定するべきである旨主張する。しかしながら、最終報酬月額は、通常、当該退職役員の在職期間中における報酬の最高額を示すものであるとともに、退職の直前に大幅に引き下げられたなどの特段の事情がある場合を除き、当該退職役員の在職期間中における法人に対する功績の程度を最もよく反映しているものといえるものであること、及び、上記ロ(ロ)のとおり、本件事業年度において、役員に対する事前確定届出給与(賞与)の支払はないことから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

事前確定届出給与の有無

 国税不服審判所の決定によると、前年に事前確定届出給与を出し、退職年に出さなかった場合は、低い定期同額給与のみを基準にされてしまうことがあります。しかし、その他のケースにおける役員退職金については、判決や国税不服審判の情報が見つからなかったため、税理士の意見を参考にしました。

ある税理士は、事前確定届出給与と定期同額給与の合計額が役員報酬であるならば、問題はないと考えているようです。また、判定が低額な定期同額給与だけで行われた場合には、適正な役員報酬ではない旨を主張することができるとしています。更に、事前確定届出給与が行われていなかった場合は、請求人の責任とする税理士もいます。

そして、事前確定届出給与を行っていない場合でも、役員報酬が適正な定期同額給与のみで構成されている場合には、過大な退職金にはならないため、この額を基準に支払うことも考えられます。また、退職年に低額の定期同額給与しか出していない状態で退職金を支給することは、問題の原因と考えられます。

もし前年から引き続いて事前確定届出給与を出していた場合、裁決結果が変わるかもしれません。
現時点で、事前確定届出給与を出して退職金を支給した場合に問題が発生した報告は全国的に1件もありません。

ということは、死亡役員退職金の場合は特に注意が必要になります。

(参考)
平成29年度の税制改正時に功績倍率法の定義が初めて明文化されました。
法人税法基本通達9-2-27の2(業績連動給与に該当しない退職給与)
いわゆる功績倍率法に基づいて支給する退職給与は、法第34条第5項(業績連動給与)に規定する業績連動給与に該当しないのであるから、同条第1項(役員給与の損金不算入)の規定の適用はないことに留意する。
(注) 本文の功績倍率法とは、役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として、役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法をいう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP