他の親族(兄弟姉妹)からの遺留分侵害請求に対して、後継社長はどのように備えるべきか?

今からお伝えするのは、とある会社の、2代⽬社⻑に起こった実際の出来事です。

先代が元気だからと、事業承継を怠っていた2代⽬社⻑の末路

その会社の次期社⻑として専務を務めていたのは、3⼈兄弟の⻑男でした。長男は、社内的にも対外的にも後継者として認知されていました。会社の業績もよかったため10億円もの価額の付いた⾃社株は先代が90%、⻑男が10%の持ち⽐率だったそうです。

その状態で、先代社長が急逝してしまったのです。
先代の資産は⾃社株を含め⼟地預貯⾦などで合計12億円程度。

そこで長男は次期社⻑として、⾃社株の相続を主張します。しかしその資産価値は9億円。この不公平な状況に、相続争いが勃発してしまったのです。

次男は法定相続分を主張しました。さらに⻑⼥も、だんだんと要求が増えていきました。
株を兄弟にに渡すとスムーズな経営に⽀障が出ることはもちろん、兄弟に渡った株が万が一反社会勢⼒や競合に渡ってしまうというリスクを考えれば、株の分割は避けたい⻑男です。

この問題は、⻑男が銀⾏から4億円を借り⼊れることで終結しました
会社は何とか存続していますが、社⻑となった⻑男は、4億円の借⾦の返済でとても苦しい状況になってしまったのです。
このような状況下では、⻑男はまともに経営などできないでしょう。そして、兄弟姉妹の関係にも⻲裂が⼊り、修復にはしばらく時間もかかるでしょう。

このような未来を先代の社⻑(⽗)は望んでいたでしょうか︖
そんなわけは、ありません。

実はこのような話は、決して珍しいことではないのです
事業承継をしなかったために、不幸になってしまう後継者やその家族、そして社⻑。そんな⽅を⾃分の会社では起こさないために、ぜひあなたにも⾃社の事業承継について考える機会をもっていただきたいと思います。

先代から自社株を相続する後継社長の最大のリスクとは?

2019年に民法が改正されて、遺留分の侵害額は金銭での支払いが必須になりました。
後継者(長男)への自社株相続は、他の兄弟姉妹から遺留分を請求された場合、現金で支払わなければならないことが最大のリスクとなっています。

後継者(長男)に遺留分を侵害された他の兄弟は姉妹は、後継者(長男)に対して、侵害額を金銭で請求できる法律改正がありました。(2019民法改正1046条)

✎ひと言でいうと…… ✎

他の兄弟姉妹から遺留分を請求された場合、後継者(長男)は多額の現金が必要となります
実家の事業を継いだ長男の場合、数千万円の金額の負担になることもよくあります。

✎なぜならば……✎

長男は自社株と納税資金用の現金を相続する必要があるため、他の兄弟姉妹よりも多くの遺産が集中しがちです。そのため、他の親族(兄弟姉妹)に対する遺留分の金額を侵害してしまうのです。

✎重要なことは3つ…… ✎

たとえば、自社の純資産が5億円あるオーナー家の場合……(4人家族)

①自社株3億円と納税資金としての預金、1億1000万円を相続した長男に対して、他の親族2人は遺留分侵害額として9750万円の支払いを現金で長男に請求できます。

②長男が納税資金として相続した1億1000万円を、遺留分の9750万円の支払いに充てると、税務署への納税資金が足りなくなります。税務署への支払いに充てると、他の親族2人からの遺留分請求額が払えなくなります。
これは正直、八方塞がりです。

③相続税納税猶予制度はありますが、これはあくまでも税法上の特例措置です。この場合、民法1042条の遺留分の規定が優先します。税法と民法、適用される法律が違うのです。皮肉なことに、先代から引き継いだ会社を大きくすればするほど、自社株の評価が高まり、他の兄弟姉妹から請求される遺留分の額も大きくなっています。

✎結論としては…… ✎

他の兄弟姉妹から遺留分を請求された場合、後継者(長男)は多額の現金が必要となります。

✎つまり…… ✎

後継者(長男)に遺留分を侵害された他の兄弟は姉妹は、侵害額を金銭で請求できる法律改正があったからです。(2019民法改正1046条)

✎簡単にできるのは…… ✎

先代が健在なうちに分割対策などを行うという選択もありますが、先ずは、今ことが起こった場合、他の兄弟姉妹から請求される、現在の遺留分侵害額の金額を把握しておいてはいかがでしょうか?
それによって、今のままで安心できるのか、対策の要否や選択肢など、見えてくると思います。

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