役員報酬が多くて年金がもらえないシニア社長の「年金繰下げ」は、得する? 損する?

60歳代以上の、シニア世代の経営者が抱える大きな悩みの一つが「年金」です。
年金受給開始年齢になっても会社から高額の役員報酬をもらい続けている人は、厚生年金がカットされ、支給されなくなってしまいます。
これまで何十年もの間、高額な厚生年金保険料を払い続けてきたのに、役員報酬が高いという理由だけで年金が1円ももらえない……。なんだか、理不尽な印象を受けてしまいませんか?

役員報酬が高いために支給停止となっている年金は後から遡ってもらうことはできません。これらは復活することのない年金ですから、もし年金をもらいたいのであれば早めに手を打つ必要があります。

こんな時、多くの社長がすぐに考える打ち手が「年金の繰下げ」です。
多くの社長の考える筋書きは、こうです。

  • まもなく65歳の支給開始年齢だが、収入が多いから年金がもらえないはずだ
  • そこで年金の繰下げを行い、支給開始を70歳からに遅らせよう
  • そうすれば、今もらえない分将来の年金が増えるはずだ。どうせなら後からもらった方が得をする。

特に深く調べることなく、このような方法をとっている社長は多いです。

しかし残念ながら、多くの社長にとってこれは当てはまりません。
最初に結論を言います。

年金を繰下げしても、もらえる年金は1円も増えません!

社長の年金を繰り下げしても、年金は1円も増えない理由

なぜ社長の場合、年金繰下げをしても後からもらえる年金は増えないのでしょうか?
その仕組みを、簡単にご説明します。
あなたに簡単に知ってほしいのは、2つの仕組みです。

まずひとつめは、在職老齢年金という仕組みです。
簡単に概要だけ説明すると、「年金の支給を受けられる人が厚生年金に加入して働いていると、給与報酬の金額と年金の金額との合計額によって、年金の一部または全部が支給停止されてしまう」という制度のことです。

これは、もらっている収入がいくらかだけでは決まりません。年金額と収入額(総報酬月額相当額、ボーナスを含んでおしなべた月収)の合計で決まります。以下の図を見てください。

たとえば年金支給開始の65歳以上の場合、賃金+年金で47万円を超えてしまうと、年金のカットがはじまります(令4年度の場合。年によって変わります)

人によって年金額は違うので必ずそうなるというわけではありませんが、おおよそ60万円程度の月収をもらっている場合、ほとんどの人の場合はもらえる年金が0になってしまいます。多くの社長が、このラインは超えているのではないでしょうか?

そしてもうひとつ知っていただきたいのが、年金の繰下げ時に増える年金の仕組みについてです。
年金の繰下げを請求すると、以下のような計算式で受給される年金額が増えます。

65歳になった月にもらえた予定の年金額×0.7%×65歳になった月から請求した月の前月までの月数

ここで大きなポイントとなるのが「65歳になった月にもらえた予定の年金額×0.7%」という部分です。
もし、65歳の時点で収入額が56万円を超えて、0になっていたとしたら……
ゼロに繰り下げの加算率(0.7)をいくらかけたところで、ゼロはゼロのままです。
これでは何年経とうが年金は増えません。

したがって、「年金繰下げをしておけば、将来もらえる年金が増える」というのは、しっかり働いて給与をもらっているほとんどの社長にとって、残念ながら間違いなのです。
社長の年金をどれだけ繰り下げしたところで、年金は1円も増えません。
給料を50万円以上とっている60代の社長は、ご自身の年金と役員報酬をぜひ早急にチェックしてみてください。

たとえ年収が多くても、まだ諦めないでください!

中小企業の社長の多くは、年間330万円を超える社会保険料を毎年払ってきました。そして、これからも現役である限りずっと払っていきます。それにも関わらず、将来もらえる年金がゼロのままというのは、ちょっと理不尽な気がしませんか?

でも、決してあきらめる必要はありません!
たとえ高額の役員報酬をもらっていても、また複数の会社を経営していたとしても、きちんと取り組めば社長の年金は復活します。

せっかく払い続けた厚生年金保険料を無駄にしないため、しっかりとした役員報酬をもらいながらやりがいのある経営を続けるため、そして、あなたの会社により多くお金を残して会社をさらに発展させるため、ぜひ、年金復活に取り組んでみてほしいのです。

詳しくは、当協会の発行しているこちらの書籍をぜひご一読ください。

「シニア社長のための年金復活マニュアル」詳細ページへ

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